追記
東北電力は2015年1月より買取再開しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
九州電力に続き、買い取り中断
2014年10月1日から、東北電力は事業者向け太陽光発電の新規買い取り中断しています。正確には、再生可能エネルギーの新規受け付け回答保留なのですが、実質的に新規の買い取り中断と言えます。
九州電力の場合は、管轄エリア内における日照時間が長いため、投資目的の太陽光設備の申し込みが想定外に多くなり、電力の安定供給のため買い取り中断しています。
一方、東北電力の場合は、日照時間も長いわけではなく、冬場は積雪で発電量も見込めないのに、何故買い取り中断するのでしょうか?
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理由1:受け入れ可能な余力が無い
以下は九州電力の資料からの抜粋です。
上記を見ると、東北電力のピーク需要は約1300万kW、太陽光と風力発電が占める割合が1074万kWと、余力は約226kWとなっており、ピーク需要に対する比率は九州電力に続きワースト2位の83%です。
つまり、九州電力に次いで再生可能エネルギーの受け入れ可能容量が少ないことになります。これでは、新規買い取り中断するのも無理はないでしょう。
理由2:メガソーラーの大量稼働
東北エリアで太陽光発電が大幅に増えたのは、個人宅の太陽光発電の増加が原因ではなく、事業者向け太陽光発電設備、いわゆるメガソーラーの増加が影響しています。
特に東日本の震災で被災した地域で太陽光発電の投資が多く、例えば福島県いわき市では三菱商事などが1万8000キロワットのメガソーラーを稼働し始めたり、東北電力が太陽光を買い入れ量は原子力発電所一基分にもなります。
行政も太陽光発電設備の受け入れを支援したりしましたので、余計に太陽光発電設備が乱立したのです。
しかも来春には丸紅は宮城県岩沼市で2万8300キロワットのメガソーラーが稼働を控えていたりと、今後も東北電力が買い取る太陽光発電が増え続ける事態なのです。
これらの理由から、東北電力は2014年10月1日から新規買い取り中断を決定したのです。
説明会Q&A
それでは、新規買い取り中断した状況で、既に建設予定を立てている事業者や、これから太陽光設置を考えている個人の方はどうすべきなのでしょうか?
東北電力が説明会を行っていますので、その際の質疑応答をまとめます。
中断再開はいつか?
現時点では未定です。上記図の通り、電力の需要供給のバランスが大事ですから、需要が大幅に伸びるか、供給が大幅に減らない限り、再開は難しそうです。
東京電力へ融通できないのか?
隣のエリアである東京電力に電力を分け与えれば、受け入れ再開できる可能性はあります。東京電力管内は人口も多く、大きな需要があります。
しかし、他電力会社へ電力を送るのには様々な制約もありますし、許容量の制限もありますので、なかなか困難な様子です。
新築など住宅向け太陽光も買い取り中断するのか?
現段階では新規買い取りを継続しています。個人宅の場合は、基本的に自己消費で余剰分を売電する仕組みのため、電力会社にとっては大きな負担となりません。
しかしながら、ピーク需要に対する比率が80%を超えていますので、近い将来、個人宅での太陽光発電も買い取り中断対象になることが容易に想像できます。
まとめ
以上、今回は東北電力の太陽光新規買い取り中断について説明しました。
現状を鑑みると、今後すぐに買い取り再開することは難しく、また個人向け太陽光発電についても近い将来買い取り中断することが予想されます。
もし東北電力管内で新築で太陽光発電を検討されている方は、慎重にかつ迅速な決断をオススメします。