2014年10月から再生可能エネルギー発電の新規の申し込みを中断していた東北電力ですが、このたび経済産業省の発表を受けて、来年2015年1月中旬から買い取り再開することを決めました。
政府の調査結果によると、東北電力で買い取り可能な再生可能エネルギー発電量は552万kWとなっています。
しかし、だからと言って喜んでいられない状況なのです。
東北電力管内ではすでに太陽光発電の連系確定分(太陽光発電設備から発電することが確約しているもの)が584万kWもあります。これは、政府の算出した受け入れ可能量の552万kWをすでに超えています!
もう受け入れ可能量を超えているのだから、来年1月から買い取り再開なんてできないじゃん!と思われる方も多いと思います。
実は、東北電力は指定電気事業者という政府の許可した事業者に認定されることで、受け入れ可能量を超えても買い取り再開することができるのです。
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指定電気事業者とは?
指定電気事業者とは、接続申込量が接続可能量を超過した場合には、年間30日の出力制御の上限を超えた無補償の出力制御を前提として、再生可能エネルギーの系統への連系ができるよう経済産業大臣から指定された一般電気事業者のことをいいます。
何のことかと言うと、
太陽光が発電しすぎたら、電力会社の裁量で勝手に発電を止めちゃっていいよ。
という条件を飲んでくれれば、受け入れ可能量を超えても新規申し込みを再開できるよ、ということです。
政府の算出した結果はあくまで厳しい条件での受け入れ可能量ですので、夏や冬のように電力需要が多い場合には、太陽光発電がたくさん発電しても買い取りすることができます。
ただし、秋や春の休日のように、冷暖房も使わなければ工場も会社も稼働しておらず、電力需要が少ない日は、太陽光発電の発電量が多すぎてしまいます。
ですので、政府の試算は電力需要の少ない日を基準とした受け入れ可能量なのです。
逆に言うと電力需要が多い日なら、まだまだ受け入れ可能なのですが、そうすると電力需要が少ない日は過剰発電となり、安定的な電力を供給できなくなってしまいます。
そのため、受け入れ可能量を超えて太陽光発電を受け入れるなら、需要が少ない日に電力会社の裁量で発電をストップすることができるようにするのです。これができるのが、指定電気事業者、というわけです。
東北電力の場合、すでに政府の算出した受け入れ可能量を超えていますから、基本は買い取り再開できません。ですが、政府に指定電気事業者と認定してもらうことで、新規の申し込みを受け入れることができる、ということです。
再開されても良いことばかりではない
来年1月に買い取り再開するとのことですが、太陽光発電設備を管理する側としては良いことばかりではありません。
先ほども説明しましたが、東北電力が新規買い取り再開するためには、電力需要の少ない日に各太陽光発電設備の発電を停止することが前提です。
そのため、太陽光発電をする側としては、いつか分からないけれど、いきなり太陽光発電が止められて売電できない、という状況が発生するということです。売電できないということは収入が減るということですので、これは面白くないですよね。
しかし、受け入れ可能量をすでにオーバーしている状況のなか、何とか買い取り再開するためには、このような規制(出力抑制)は致し方ないのです。
追加設備が必要となるケースも
これから東北電力管内で太陽光発電を始める人は、設備に遠隔制御システムの導入が必須となります。
先の出力抑制を行うためには、電力会社が各発電設備を遠隔から止められるようにしなければなりません。それが遠隔制御システムであり、これは発電側の負担となる設備です。
また、九州電力では、太陽光発電設備に蓄電池の導入を義務化していたりしますので、こらから始める方は太陽光発電設備だけでなく、このような付属設備費用も考えておく必要があります。
なお、10kW未満の主に一般家庭向け太陽光発電設備については、このようなシステムは不要とのことです。10kW未満では基本的に発電分を自宅で消費してから余りを売電するため、メガソーラーのように発電量が多くないというのがその理由です。
これからの太陽光はどうすべき?
太陽光発電の買い取りは再開されますが、無補償の出力抑制や追加設備費用など、従来より厳しい条件があり、固定買い取り価格と設備費用、出力抑制の時間などを鑑みて損益分岐点を正しく計算して、参入すべきか否か、もう一度検討したほうが良いと言えます。
一般家庭向け太陽光発電は追加設備は不要ですが、来年度の買い取り価格の引き下げと出力抑制は注意が必要です。予算に余裕がなければ、無理に太陽光パネルを取り付ける必要は無いと思います。