電力会社が次々と新規買い取りを中断
2014年10月1日以降、電力会社の多くが太陽光を含む再生可能エネルギーの新規買い取りの中断を実施しています。基本的には多くの発電量を誇る事業者向けの太陽光発電や、個人宅でも10kW以上のソーラーパネルを搭載した設備が買い取り中断の対象となってきています。
一方、10kW未満のソーラーパネルの場合は、個人向け太陽光発電の買い取りを継続しているのが現状です。そのため、今回の買い取り中断のニュースを見て、「なんだ事業者向けだけか。ウチは10kWなんて大容量のソーラーパネル搭載しないつもりだから問題ないわ。」と思われている方が多いと思います。
しかし、それは大きな勘違いです!
太陽光発電の買い取りは行ってくれても、もしかすると来年度以降買い取り価格が大幅に引き下げられる可能性が出てきたのです!
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経済産業省が太陽光発電買い取り価格の引き下げ調整中
再生可能エネルギー、特に太陽光発電は、政府による固定買い取り制度(FIT)が導入されてから、大きく発電量が伸びてきました。設備の初期費用が他の再生可能エネルギーに比べ安価なこともあり、当初の政府の想定以上に発電量が増えてしまいました。
特に事業者向け太陽光発電の伸びが著しく、日本全国でメガソーラーが設置されています。街中を見ても太陽光発電設備がたくさんできているのに気づかれることが多くなっているかと思います。
しかし、発電量が天候によって大きく左右される太陽光発電は、電力会社にとっては迷惑極まりない再生可能エネルギーです。そのため、2014年になってから、電力会社による再生可能エネルギーの新規買い取り中断が相次いで発表されました。
そのような事態を受けて、政府も重い腰を上げました。NHKの報道によると、経済産業省が太陽光発電の買い取り価格を大幅に引き下げる方向で調整に入ったとのことです。
このニュースによると、年内には法律を改正して、遅くとも来年度以降からの太陽光発電買い取り価格を引き下げる方向となりそうです。
2015年度の買い取り価格はいくらになるのか?
経済産業省が太陽光発電の買い取り価格を大幅に引き下げる方向で調整中であることは分かりましたが、実際に来年度の買い取り価格はいくらになるのでしょうか?
平成26年度(2014年度)は、太陽光発電買い取り価格は10kW未満で「37円」です。ちなみに平成25年度(2013年度)は「38円」、平成24年度(2012年度)は「42年」でした。つまり、毎年1〜4円ずつ引き下げられている状況です。
しかし現在、経済産業省が買い取り価格の大幅引き下げを検討していますので、従来の引き下げ価格から大きくなることが予想されます。
おそらく、現状の太陽光発電の新規申し込み過多の状況を鑑みると、来年度(2015年度)の買い取り価格は、10kW未満で「30円」前後となる可能性が高いと言えます。
この理由は主に以下の通りです。
従来の引き下げ幅の倍以上にするため
大幅引き下げ、と銘打っている以上、従来の引き下げ価格よりも大きく引き下げる可能性が高いと思われます。2012年から2013年の引き下げ幅が4円ですから、それより大きく引き下げるとなれば、倍の8円〜10円程度の引き下げ幅となることが想像できます。
太陽光発電に手を出しにくくするため
現状は太陽光発電偏重の状況ですから、政府や電力会社としては太陽光発電の新規申し込みを規制したい思惑があります。すなわち、現状10年以内でペイできると言われる太陽光発電の買い取り価格について、10年以上稼働しないとペイできないような価格設定にすれば、容易に太陽光発電を申し込みにくくなります。
10kW未満の太陽光発電の場合、買い取り価格をおよそ30円前後に設定しておけば、10年以上稼働しないとペイできないため、安易な太陽光発電の申し込みを減らせると思われます。
現在新築を検討している場合、太陽光発電はどうすべき?
今回のニュースを受けて、現在新築検討中の方は「太陽光発電どうしよう?」と悩まれていると思います。
結論としては、「本年度中に申し込みを完了できれば、太陽光設置しても問題なし」と言えます。
本年度(2014年度)は買い取り価格37円ですし、一度設置すれば10年間は買い取り価格が固定となりますので、10年以内にペイできる可能性は高いです。
しかしながら、建築完了が来年度になる場合、おそらく大幅引き下げ後の買い取り価格となることが想定されますので、太陽光発電の設置は再検討したほうがよいでしょう。
来年度の買い取り価格が30円というのはあくまで私の推測ですので、実際はそこまで引き下げられない可能性もあります。特に現状は10kW未満の個人向け太陽光発電よりも、事業者向けの大容量太陽光発電設備が問題ですので、来年度以降は10kW以上の設備のみ買い取り価格の大幅引き下げする可能性もあります。とはいえ、戸建てのような10kW未満の太陽光についても、大幅ではないにせよ、引き下げは確実といえます。
また、来年度までまだ半年もありますので、駆け込み需要で10kW未満の太陽光発電の申し込みが増加することが予想されます。そこまで考慮に入れた上で政府が来年度の買い取り価格を決定するならば、10kW未満の買い取り価格も大幅に引き下げされる可能性も残ります。
いずれにせよ、本年度中に太陽光発電の申し込み完了できない場合は、太陽光発電の設置を再検討することをオススメします。
まとめ:太陽光発電がダメならどうする?
今回の報道は太陽光発電を検討している方にとっては大ニュースだと言えます。太陽光発電は買い取り価格の高さが魅力的であり、それが大幅に引き下げられるのであれば、メリットはほぼ皆無となります。蓄電池に溜めて自己消費するだけでも使えますが、やはり売電して利益を得ることができるのが最大のメリットですから、買い取り価格の引き下げはかなりの痛手です。
それでは、今後新築を建てる場合、どうすべきでしょうか?
解決策の1つとしては「太陽光発電など再生可能エネルギー発電をやめること」、もう1つは「太陽光以外の再生可能エネルギーを導入する」ことが挙げられます。
先のNHKニュースでも語られていますが、政府は太陽光発電に偏重しすぎた状況を改善することを目的に買い取り価格の大幅引き下げを検討しています。逆に言えば、太陽光以外の再生可能エネルギーについては買い取り価格が下がらない可能性が高いのです。
太陽光以外で導入容易な再生可能エネルギーといえば「風力発電」があります。個人宅でも設置ができますし、買い取り価格はなんと「55円」!初期投資は高いですが、十分にペイできる可能性を秘めた再生可能エネルギーだと言えます。
何より今回のニュースを鑑みれば、政府も風力や地熱発電の買い取りを強化する狙いもありそうですので、これから新築を検討の方は風力発電も候補に入れてみることをオススメします。
なお、新築向けの風力発電については以下の記事にまとめていますので、あわせてご参考にしていただければと思います!