九州電力をはじめとする電力会社の再生可能エネルギー買い取り中断について、経済産業省が買い取り価格の決定についての方針を固めました。
[日刊工業新聞]経産省、太陽光発電の買い取り価格を契約締結時に適用-1カ月以内に工事負担金支払い
以下、記事の抜粋です。
接続契約を締結した時点での公定価格を適用する方向で最終調整する。(中略)電力会社側の事情で接続の交渉が長引いた場合には、接続を申し入れてから9カ月がたった時点での公定価格を適用する方針。
これによると、現在の方針の骨子は、
- 買い取り価格は契約締結時
- 電力会社都合で契約遅れたら9ヶ月後の価格で決定
となります。
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契約締結時にした理由は?
2014年10月以降、電力会社が再生可能エネルギーの新規買い取り中断を行っていましたが、その理由の多くは、「契約だけして発電設備を稼働しない事業者の乱立」です。
従来は「接続申し込み時の価格」が適用されていましたので、実際に発電設備が無くても良かったのです。
すると発電事業者としては、高い買い取り価格の時に申し込みだけしておいて、実際発電開始するのは太陽光パネルの価格が下落してから、という裏ルートがあったのです。
そんな裏道があると、真面目に発電事業を開始する事業者が損するわけですし、また再生可能エネルギー買い取り費用の負担は国民の電気代に上乗せされていますので、国民にも不利益を被ります。
そのため、政府としては、買い取り価格の決定時期を後ろ倒しすることで、このような悪徳業者を排除する狙いがあります。
9ヶ月ルールは?
経産省の調整内容には「契約締結が長引いたら 9ヶ月後の価格を適用」とあります。
これはたとえば、
- 申し込み過多で手続きが進まない場合
- 電力会社の手違いで契約締結が遅れる場合
などに対応するためです。
今回の内容では、契約締結時に価格決定するので、なんらかの理由で契約締結が長引いてしまうと、正規の手続きを行っているのに買い取り価格が下落してしまうリスクがあります。
そのような状況を回避するための施策がこの9ヶ月ルールです。
一般家庭にも影響する?
今回の方針は元々悪徳事業者への対策なのですが、例えば新築の屋根に搭載する太陽光発電についても対象となるのでしょうか?
結論から言えば、「対象になる可能性があるが、影響は軽微」です。
以下は一般家庭で搭載する際の契約の流れの参考図です(低圧の部分)。
事業者向けの高圧系とは異なり、一般家庭向けの低圧系は契約の流れがシンプルで、申し込みから契約締結までのスパンが短いです。
そのため、従来の買い取り価格の決定方法でも、今回提案されている契約締結時の買い取り価格でも、それほど時間的な差はないので、買い取り価格が減ってしまうリスクは少ないでしょう。
ただし、買い取り価格が切り替わる年度末ギリギリで申し込みするような場合は、もしかすると次年度の買い取り価格になってしまう可能性はあります。
いずれにしても、契約に余裕をもって臨めば、一般家庭の太陽光発電については大きな影響はなさそうです。