関電エリアも注意が必要
2014年10月1日から、電力会社の多くが太陽光含む再生可能エネルギーの新規買い取り中断を始めました。現状は10kW以上の大容量太陽光が対象となっていますので、10kW未満の新築・既築向け太陽光は10月以降も新規買い取りは継続していきます。正確には申し込みに対する回答保留なのですが、保留解除の時期も未定ですし、そもそも電力会社のキャパシティをオーバーしている場合は、回答保留=事実上の新規買い取り中断を意味していると言えます。
関西電力の場合は、九州電力や東北電力ほど電力需要と再生可能エネルギーの供給量が切迫していませんので、基本的に回答保留は行っていません。
上図では、関西電力の夏期ピーク需要に対する太陽光発電の供給量の割合は「38%」となっています。九州電力の112%や東北電力の83%に比べて、まだまだ余裕があるようです。これなら、関西の人は安心できそうですよね。
しかしながら、関西電力のホームページを確認すると、一部地域で太陽光発電の新規買い取りを中断しています。なぜ、まだ余裕があるのに買い取り中断するのでしょうか?
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関電の新規買い取り中断地域
まず、関西電力が再生可能エネルギーの新規買い取りに制約のある地域はどこなのでしょうか?
まず、兵庫県の淡路島の南あわじ市、洲本市、淡路市の一部が新規買い取り中断対象となっています。
淡路島でも四国に近い市が対象となっており、10kW以上の太陽光発電設備は新規買い取り中断されています。同じ淡路島でも淡路市は大丈夫というのは不思議なところですよね。
また、和歌山県(新宮市、田辺市、東牟婁郡、西牟婁郡)、奈良県(吉野郡)、三重県(熊野市、南牟婁郡)でも買い取り中断対象となっています。
上記地域では、個人・事業関係なく10kW以上の発電設備の新規買い取りを中断しています。10kW未満は今のところ買い取りしてくれるようですので、新築向けの少容量太陽光発電なら問題なさそうです。
今はまだ一部地域だけですが、これから先多くの地域が対象となってくると、関西エリアで太陽光発電を検討中の方は困ってしまいますよね。
そのような可能性が今後あるのかどうかは、上記エリアが中断対象となった理由を紐解いていくと分かると思いますので、次からその理由を見ていきたいと思います。
新規買い取り中断の理由
それでは、関西電力はなぜ新規買い取り中断しているのでしょうか?
淡路島の一部地域の場合、四国電力から送電された電力を使用している地域となっています。先の10月1日からの新規買い取り中断している四国電力から送電を受けているため、関西電力の余力に関係なく、新規買い取りを中断せざるを得ないのです。
同じ淡路島内でも淡路市が対象外なのは、四国電力から送電されている地域ではないからです。関西電力の送電圏内に含まれていて、まだまだ余力があるので、新規買い取り中断対象から逃れることができているということです。
それでは、関西電力圏内であるにもかかわらず、新規買い取り中断となってしまった和歌山・奈良・三重の一部地域は、なぜ対象エリアとなってしまったのでしょうか?関西電力にはまだ余力があるはずなのに、不思議ですよね。
和歌山・奈良・三重の一部地域で新規買い取り中断している理由は、送電線の容量不足により買い取り量を一定以下に抑えているためです。今まで送電線の容量が少なくても問題がなかったエリアなのに、昨今の再生可能エネルギーバブルの影響で、新規の買い取り電力が大幅に増加してしまったので、送電線の容量が足りなくなってしまったのです。
こうなると、電力会社として全体の余力があっても、一部地域の送電線の容量が足りなくなってしまい、結果的に他の地域でも買い取り中断する可能性がでてきます。
だたし、九州電力や北海道電力のように、すでに電力会社全体としてキャパシティが不足している状況に比べて、関西電力はまだまだ余裕がありますので、上記エリアの場合は送電線の増強によって再び買い取りできる可能性は高いと言えます。送電線の増強工事は一朝一夕でできるものではないので、例えば今年中に解消できる問題ではないにしろ、近い将来的には解消できると思います。
まとめ
以上、今回は関西電力の再生可能エネルギー新規買い取り中断について見ていきました。
関西電力は需要に比べて供給量が少ないため、今すぐ再生可能エネルギーの新規買い取りを中断するという状況に陥ることはなさそうです。
ただし、送電線の容量次第では、一部地域で先行して買い取り中断する可能性がありますので、注意が必要です。
また、10kW未満の新築・既築向けの新規買い取りは継続されていきますので、現在新築を検討されている方は安心してよいと思います。
ただし、太陽光発電偏重の現状を改善するため、政府は来年度以降の太陽光発電買い取り価格を大幅に引き下げる可能性があります。
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